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iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (八代嘉美)

iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (八代嘉美)

古い友人が出した本だからというわけではないが、「ブルーバックスではないの?」というのが誉め言葉になる位、門外漢で素人な私にも読みやすくわかりやすい本だった。

流石はオタクの道をつき進み、離れようとしてみても結局もどってきており、あげくの果てには日本SF界の深みに飛びこんでいく男。推薦文はなんと筒井康隆だし、構成力や読ませ方にも同人で培った技術が如何なく発揮されている。真面目な本でなかったならば、表紙絵まで手配できたんじゃないだろうか…。

と、いうのは程々にして、実際にかなり構成が良くできており、全く知らない状態から読みすすめてもわかりやすい。本格的に書名にある iPS 細胞が出てくるのは9章中6章になってから。そうして終盤の iPS 細胞がらみの最先端技術の紹介になってくるのだが、そこに至るまでに必要な前提知識である ES 細胞や再生医療といった物事を丁寧に解説してあり、新聞等で読む程度のキーワードさえ知っていれば十分後半の話題に備えられる。

内容は、ES 細胞とはなんぞやという所からはじまり、ドリーなどのクローン話をひきつつ幹細胞の話、再生医療といいつつ体の中でどのような事が起こっているのかという深い話まで一度持っていってから、今度は一転して研究者の倫理と研究の歴史、そして iPS 細胞とその展望となっている。

とにかく一般人にわかりやすい程度に良く情報が引いてあるのが特徴だ。研究者とその業績が事あるごとに書いてあるので、おそらく調べようと思った時に良いとっかかりになる。索引もあるので後から見直したい時もばっちり。

なお、後半になればなる程手綱が緩むのか、多少形ばかりの断りをいれつつ、ガンダム00からジェンダーSFまで段々と素人おいてきぼりな会話が横道として入ってきている。クラークやアジモフならともかく、わざわざイーガンを持ちだしてくるあたりは業が深いというべきか。本職から趣味に至る私がわからないたくさんの話題も含めて、著者の博学・衒学っぷりが良く出た本であった。

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