- 2011-02-20 (日) 20:14
- 記事
今回の「情報処理 2011 Vol.52 No.2 通巻552号」は「あから2010勝利への道」と題して、プロ棋士 清水市代女流王将(当時)とあから2000の取り組みの準備や裏話を特集している。
あから2010に対しては4種類の強豪将棋プログラムによる合議制、実践ではクラスタ構成でバックエンドを構える、という所が一般に言われているところですが、実際には東大のistbsクラスタ(166台332 core)、科研費InTriggerクラスタ(21台168core)、東大GPS将棋クラスタ(9台64コア)、電通大Bonanzaクラスタ(7台64コア)、YSSマシン(1台6core)、と遠距離を結んだ広域分散環境となっています。
分散計算ノードとしてクラスタを利用するものの、耐障害性のために単純な並列構成ではない、という所が面白いところです。そのために、ローカル環境(対局隣室)にそれなりなマシンで4種類のプログラムを揃えており、最小構成として全部クラスタが落ちたとしても対局が続行できるようです。
チューニングとしては、あらかじめ定石棋譜を操作して対清水市代女流王将シフトを敷いていたというのが意外でした。あらかじめ苦手な局面を調べておき、後手なら△3四歩を指すようにしていたようです。もっとも、バグにより確率的に選ばないという可能性もあったようですが、本番では無事選んでくれてほっとしたとの事。
また、公正のためにコンピュータに弱い清水女流王将に対して、直接コンピュータ将棋の特性について詳しくレクチャーの上、自由にできる対局環境を用意していた、というあたりも将棋の番外の読みあいの楽しさでしょう。同女史の寄稿ではコンピュータの手がわかるようになった一方で人間相手の手にも影響したとあり、それが良い影響なのか悪い影響なのかはわかりませんが、矢張りまだまだ異質だという事なのでしょう。
次の第二戦は中堅棋士との対局のはずですが、リーマンショックのせいで第一戦でスポンサーが見つからず、結局赤字運営だったとのこと。見つからないと二戦目が厳しいとあり、学術としてはともかく、興業としてはなかなか難しいようです。費用も対戦料・連盟・運営経費各1億で計3億とのことで、昨今の景気ではなかなかポンと出してくれるパトロンはいなさそうです。
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