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眉村卓『消滅の光輪』(上)(下)
- 2008-08-14 (木)
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いいSFを読ませてもらった。それが最初の感想だ。読後感をたっぷりと味わいたい物語を読んだ時はいつもそうだ。心の中でエンディングの余韻に拍手しながらも、身体はぼうと思考が物語を反芻してたゆたうのに任せておく。そうすると次々と印象的な場面が思いうかんできて、物語につきつけられた命題に対する自分なりの考えの欠片がうかんできて、なおいっそう余韻を印象深いものにする。
司政官シリーズは名前だけは以前から聞いていたものの、すこし前まではとんと縁が無い物語だった。ロボット官僚とのインタラクション、官僚である司政官としての立場、そんな噂は端々で聞こえていたものの、実際に読んだことはなく、図書館でも出会うことはなかった。
そんな中、復刊で出会ったのが前作となる「司政官 全短編」だった。司政官制度の黎明期から円熟期に至るまで、その折々の舞台で語れらえる様々な様相に魅了された。司政官制度というもの自体に大して思いを抱いたり、現実と対比したりしたわけではない。ただ、アジモフのファウンデーションがそうであるように、ここにはそのような舞台があり、物語があり、歴史があり、そしてセンスオブワンダーがあると認識した。
だから、星雲賞を獲得した長編は是非読みたいものの一つだった。日本SF業界ローカルの賞であって一般的な権威はそんなに無い[1]とわかるし、実際その年のファン投票にすぎないとわかってはいるのだが、星雲賞に輝いた作品が何かその年の特徴をとらえている事も確かと言える。過去のSFと比較して認められたかどうかはともかく、その年の雰囲気として良い作品であったとは言えるわけだ。
そして、結論から言えば期待以上と言えた。後半2/3位は若干急ぎすぎの気もしたが、落日の権威を持つ司政官という存在に対して、企業体や現地の住民、軍隊、元々は司政官から派生し独立した巡察官、そして独特の間合を持つ先住民。こういった大局的な集団に加えて、ランや先住民の代表といった個々の立場、SQ1に代表されるロボット官僚の立場があわさり、パニックものや権謀ものではない司政官物を成している。今迄に読んだ短編と違い、複数の司政官を対比する機会があったのも、より司政官というものを考える材料となっているのだろう。
とまあ今さらながら余韻にふけりつつ考えてみても、この長編が最初に話題になった時代にこのような事はいくらでも書かれているわけで、客観的に見れば「やっと知ったの?」という程度のことなのかもしれない。
けれども、良い物語を初めて読んだこの余韻。こればかりは譲ることはできない。これがあるから本が好きだと心根から言える。最初の言葉を繰替えすことになるけれども、いいSFを読ませてもらった。本当に言いたい感想はそれだけだ。
- そもそも最終投票がSF大会というお祭りの中で、意思表明する余裕がある人物によるものである。対比される暗黒星雲賞を見てもわかるように、その年の雰囲気を反映したものであってもあくまでお祭りのノリがどこか含まれる賞だ。それだけに価値があるとも言えるわけだが。 [↩]
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iPS細胞 世紀の発見が医療を変える (八代嘉美)
- 2008-07-18 (金)
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古い友人が出した本だからというわけではないが、「ブルーバックスではないの?」というのが誉め言葉になる位、門外漢で素人な私にも読みやすくわかりやすい本だった。
流石はオタクの道をつき進み、離れようとしてみても結局もどってきており、あげくの果てには日本SF界の深みに飛びこんでいく男。推薦文はなんと筒井康隆だし、構成力や読ませ方にも同人で培った技術が如何なく発揮されている。真面目な本でなかったならば、表紙絵まで手配できたんじゃないだろうか…。
と、いうのは程々にして、実際にかなり構成が良くできており、全く知らない状態から読みすすめてもわかりやすい。本格的に書名にある iPS 細胞が出てくるのは9章中6章になってから。そうして終盤の iPS 細胞がらみの最先端技術の紹介になってくるのだが、そこに至るまでに必要な前提知識である ES 細胞や再生医療といった物事を丁寧に解説してあり、新聞等で読む程度のキーワードさえ知っていれば十分後半の話題に備えられる。
内容は、ES 細胞とはなんぞやという所からはじまり、ドリーなどのクローン話をひきつつ幹細胞の話、再生医療といいつつ体の中でどのような事が起こっているのかという深い話まで一度持っていってから、今度は一転して研究者の倫理と研究の歴史、そして iPS 細胞とその展望となっている。
とにかく一般人にわかりやすい程度に良く情報が引いてあるのが特徴だ。研究者とその業績が事あるごとに書いてあるので、おそらく調べようと思った時に良いとっかかりになる。索引もあるので後から見直したい時もばっちり。
なお、後半になればなる程手綱が緩むのか、多少形ばかりの断りをいれつつ、ガンダム00からジェンダーSFまで段々と素人おいてきぼりな会話が横道として入ってきている。クラークやアジモフならともかく、わざわざイーガンを持ちだしてくるあたりは業が深いというべきか。本職から趣味に至る私がわからないたくさんの話題も含めて、著者の博学・衒学っぷりが良く出た本であった。
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禁書目録ねぇ
- 2008-06-12 (木)
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何故か最近、知り合いが複数禁書目録に手を出しているようだ。正直最近軽いのが読みたくなって思い出して読んでいるだけなので、何がそんなに購入原因になったのだろうと調べてみる。なるほど、とある科学の超電磁砲というスピンアウトコミックが2巻まで出ていて、それの出来が良かったのか。ついでにアニメ化予定というのもあるらしい。一般的に話題になりつつあったわけで、一応購入動機としては納得。
ただ、この小説勢いは典型的な少年マンガパターンをうまく生かしていて良いのだが、いかんせん文章やヒロイン(?)の使い方に難がある。そのせいで4巻位で一旦見切って購入を止め、極楽とんぼ氏の同人誌を見て「ネタバレしすぎて読めんな…」とつい先日まで読まずに放置していた位だ [1]。
まあ、見た所徐々に改善してはいるし、そのあたりの現在の勢いがおそらくアニメ化の原因なのだろうが、それでも初期の数巻が難物揃いなのには違いない。果して他人はどれ位読み進める気になるのか、興味深いところだ。
- [NOVEL] とある魔術の禁書目録 11 (鎌池和馬)
- [NOVEL] とある魔術の禁書目録 12 (鎌池和馬)
- 当時出ていた10巻まで読んだらネタバレ無しで読めた。 [↩]
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金曜日の夜@200806
- 2008-06-06 (金)
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しかし、毎度の事ながらタイトルが重複できないからって一々 suffix をつけるのは面倒だ。
久しぶりに紀伊国屋に寄って、適当に本を買いこむ。なんというか、A/Bの続きはまだかという感じ。そして、時おり本編まで干渉するので読んでおかないと?となるような、ライトノベルの外伝攻勢は嫌いだ。
- [NOVEL] とある魔術の禁書目録 (10) (鎌池和馬)
- [NOVEL] 灼眼のシャナ SII (高橋弥七郎)
- [NOVEL] ROOM No.1301 しょーとすとーりーず・ふぉー (新井輝)
そのままやんばるに寄ってごーや定食。最近忙しい時間帯にしか行っていないせいか、あるいは原材料高騰でも響いているのか、どうも質が落ちている気がしてならない。あるいは作り手が代わったのかな? とりあえずこーれーぐーすーは日を追う毎に辛くなくなっている。酒くさいだけの麺になるのは御免だ。同等の料金なら周辺でいくらでも探せるだろうし、そろそろ次の最後の選択肢を考えるべきかな。できれば刺激的なのを。
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旅行用物資確保
- 2008-05-27 (火)
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朝から体調を崩し、全休を会社に連絡。喉が痛くてそこからさらに派生して吐き気まで出てしまっているので、午前中は無理。昨日もうちょっと軽い状態で仕事してこう悪化しているので、危険と判断。
一応近所の内科に行くと、喉の薬と一緒に風邪薬をどさりと処方される。熱も+0.5度位で、特に悪寒なども軽いのしかないのだが、矢張りそういうことなのか。ともあれ、大人しく過す。
しかし、明日の準備はしなければならないので、ある程度動けるを幸い駅前に買い出し出発。いつの間にか出ていた電撃本他を確保してくる。あいかわらずタイトルが長すぎる。
- [BOOK] 電撃 Playstation ファイナルファンタジーXI 電撃の旅団編 ヴァナ・ディール公式ワールドガイド アルタナの神兵編 ‘080501 バージョンアップ対応
- [NOVEL]とある魔術の禁書目録 (9) (鎌池和馬)
- [NOVEL]とある魔術の禁書目録 (10) (鎌池和馬)
今回の旅団本はアルタナの神兵だが、カンパニエをやっていなかったり、他国のミッションには疎いので、NPCの各種説明や、現在との対比情報が多く、非常に助かる。次回のバージョンアップでいよいよミッションが本格的に開始されるようなので、これらの情報が役立つ機会も多いことだろう。
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真っ当な株式投資(板倉雄一郎)
- 2008-05-26 (月)
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高橋さんの感想 を読んで、興味が出たので購入。
前半は、資本主義経済における投資について、本来の意味での投資と、身近な金銭の支払いすら一種の投資活動であるということをまっとうに語っている。このあたりの論点は至極当然であると納得できるものであり、基本となる点だけにしっかりまとまっている。
しかし、4章のデイトレードのあたはかなりの違和感を感じてしまった。今迄の論調とはうってかわって、いきなり著者はデイトレーダーがいかに無価値かという点に重点を置いて攻撃しはじめる。それも、今迄の論点の延長で経済の循環の中でデイトレードは異端であるという点を主に進めるのかと思いきや、何故かいきなりトレーダー本人の時間上の浪費や、世の中にある本のメッタ切り、パチンコの方が儲かるでしょう、などと理論をすっとばしてまず感情論から入っている。おまけに、一番過激な形のデイトレーダーを典型例にしているものだから、市販の本などを引きあいに出してはいるものの、それにつられて数日おきにぽつぽつやる程度の、いわゆるちょっとやってみたというタイプが完全に論点から外れている。
きちんといわれのある忌避感であったり、嫌悪感であったりするのだろうが、この箇所だけは感情が先、論点が後となっているので、後からきちんと経済的な意味とかゼロサムゲームなどで理論付けされてはいるものの、かなり消化不良な気分になってしまった。
まあ、私はせいぜい本の中で遠回しに言われている「素人はインデックスでも買って寝かせとけ」なあたりなので、前半だけでも十分有意義ではあったんだけど‥せっかくまともなのにもったいない。
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アップルパイ MP+25 AGI-1 INT+3
- 2008-05-17 (土)
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別にアップルパイが丸ごと届けられて、甘味を消費する必要があるから、というわけではないが。
いい加減にテーブル横に積み上げてある本の山が高くなりすぎてきたので、削減を試みる。一面床に分別して並べ、残すシリーズと切るシリーズを決め、ついでに本棚の本と入れかえて次回はまたこの山を処理すればいいようにしておいて、なんとかダンボール一箱分、15cm位の削減に成功。
溢れたぶんは残りを処理したまとめてブックオフでも呼びつけて処理することにしよう。
そして、即座にアマゾンから本が補充された。今回は高橋さんのを見て面白そうだと思った分が含まれている…本って放置しておくと自然に増えるよねえ。仕方がない。
- [BOOK] 財政3表一体整理法 (國貞克則)
- [BOOK] 真っ当な株式投資(板倉雄一郎)
- [BOOK] Beautiful Code
おや、Beautiful Code はあの久野さん訳だったのか。これは楽しみだ。
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2008/05 新刊確保
- 2008-05-15 (木)
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まずは確保。色々見切っていると購入数が少なくて楽だ。
- 狼と香辛料VIII 対立の町<上> (支倉凍砂)
- ガンパレード・マーチ九州奪還 (2) (榊涼介)
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T&T第7版 傭兵剣士
- 2008-04-29 (火)
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- トンネルズ&トロールズ第7版 ソロシナリオ&リプレイ 傭兵剣士 (北沢慶/グループSNE)
ブックオフをぶらぶらと見ていたら、105円の棚で発見。第7版ルールにも少々興味があったし、旧版も多分押入を探せば眠っているのだろうがリプレイがあるということでまあいいかということでなんとなく購入。
どうやら、リニューアルの際に青蛙亭ふたたびを削り、かわりにリプレイをつっこんだ本らしい。そして、ソロシナリオ部分が横書きになっていて読みにくい。折角新書サイズなのだから2段組位でまともに読みたかった。
ちなみに、105円だけあって状態悪し。2枚重ねであった表紙が見事にはりついていたり、ページが折れていたりしる。
ルールを見直すに、HTT未満の範囲で特徴が出易い用に調整したというところか。他にも得意分野を伸ばして特定のセービングスロー対策が取れるようになったり、悪意ダメージでダメージの均衡を崩しやすくなっているようだ。一方でMRが減ってもダイスの個数は減らないなど、強敵がしぶとくなる修正もあるようだ。
リプレイの中身?まあ値段分は楽しんだと言っておく。頭も終わりも尻切れなのでそんなものだ。
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彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく
- 2008-04-28 (月)
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- [NOVEL] 彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく (雪野紗衣)
予告されていた通りに、前巻の藍家からひるがえって今回は紅家の話。追いおとしの対象となったのは絳攸。監察御史として秀麗は弁護に動くが…。
というわけで、今回はとことん表は政治モード。監察御史な仕事の時はいつもそうだけれども、前提が素直じゃない。協力者に権力はあるけど動けない/動かない人が多いのでぎりぎりで踏み止まるわけですが、それすらも結局人脈なわけで、悪役がはっきりしている分政治劇として見ると少々物足りなくはある。
静蘭が画策すれば面白い構図なんだけど、基本的にそう動かない人物だしねえ。なんだかんだ言って仙人や幽霊がこっそり出歩いている中国風ファンタジーなのでたまにデウスエクスマキナもあるし。話としては、流行り病の前後が素直に勢いで動いていただけ爽快感はあった。きっと御史台を抜ければまたいつかそういう風に転がると信じて読み進めるとしよう。次は紅家なので茶家程無様な崩れ方はしないだろうしね。
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